
営業と言うと、とにかく売って売って売りまくるイメージ(ある意味正しい)ですが「売らない余裕」を見せることは大切です。
帽子のセレクトショップをやっていた時のお話です。
作家商品なので、自分のショップに入ってくるのは一点か色違い、サイズ違いでせいぜい数点。それを一週間程度のポップアップショップ(期間限定販売)で売って行きます。
帽子の値段は安くても1万円ほど。必需品でない物、ましてや今まで帽子を被ったことない方が出すには勇気のいる金額です。それは百貨店のお客様であっても同じです。買っても被らなかったらただのゴミ。
自分のお店で売る商品は、デザインも縫製技術などのクオリティはもちろん、それを作る作家さんの人柄も好きだなぁ、だからたくさん売って差し上げたいなぁ、という方達の物を選ばせて頂いてお仕事していました。
そういう想いがあると、その場しのぎで売れても被らない=ゴミにしてはならない、と強く思うのです。
それに私が入る売場は地方都市が多かったので、1人のお客様がリピーターにならなかった場合の損失も大きいのです。
だから、買って頂いても使わなくてなるだろうと思う帽子は、絶対に売らないようにしていました。時にはお値段が安い方を勧める時もあります。
そのスタイルで販売して行くと、帽子を被ったことのないお客様でも必ず被れるようになるのです。
そして数ヶ月後同じ場所で出店した時に「周りの人から褒められた!帽子が好きになった」と教えに来て下さいます。そして、以前にはチャレンジ出来なかった個性的な帽子をお求めになられます。もちろんお似合いになる物を。
当店のポップアップショップ売上のうち、リピーター様比率は平均65〜70%です。常設店舗でないのにこの確率を出していました。
商売は自分が育ててるように見えるけど、実はお客様が育てて下さる部分が本当に大きい。
今日は帽子売りのお仕事で例を出しましたが、別の営業職の例もまた今度お伝えしますね。